2019.03.01

認知症と難聴・補聴器

老齢の方々
最近、補聴器メーカーから届く販促品(冊子やポスター)に、認知症と難聴の関係に関するものが増えてきました。
これは、厚生労働省が策定した“新オレンジプラン”に大きくかかわっているものだと思います。

新オレンジプランの正式名称は『認知症施策推進総合戦略』といいます。認知症の方々へのサポートについてどのようにしていくのかということと共に、認知症予防をどう進めていくかということについて書かれています。
老齢の方
その中で認知症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、高血圧、糖尿病、喫煙、頭部外傷、以上のものと共に、難聴も挙げられています。
つまり、難聴をそのまま放置しておくと、認知症になる可能性が高くなるということです。

言葉による脳への刺激が減ることが認知症になる可能性を高める直接的原因になることと、聞きにくいことで社会的参加が減少することや、余暇活動の幅が狭まるというなどの間接的原因になるということです。
私も10数年前の補聴器販売時に2度同じようなことがありました。
軽い認知症により会話が時々かみ合わないことがあったりするお客様で、しっかりした聴力測定は行えない状況でしたが、ご家族の希望で補聴器を装用してもらうことになりました。
意思疎通の図
補聴器の着脱や紛失防止などご家族のサポートは大変だったでしょうが、2~3ヶ月でみるみる顔色や表情が明るくなり、新オレンジプラン①会話がズレてしまうことはほとんどなくなって、聴力測定もしっかり行えるようになりました。

補聴器で聞こえるようになったことが理由で、症状が改善したのかどうかは分かりません。
薬や治療の効果が出てきたのとたまたま時期が重なっただけなのかもしれません。
家族
他にも同じような方に補聴器を使用してもらったことがありましたが、必ずしも上手くいったわけではなく、補聴器を着けてもいやがられたり、家族が見ていないところで外して失くしてしまうこともありました。

聞こえるようになることで、認知症が改善するとまでは言えませんが、聞こえるようになることで、認知症を発症する可能性が低くなることは知られています。
脳を健康に保つ上で聞こえるということは非常に重要で、難聴になった方にとって補聴器を使用することが、脳を健康に保つための一つの方法ということになるのでしょう。

ただ、個人的には一つ疑問が残ります。そのような論文等は見たことがないのですが…。

生まれつき聞こえない方は、言葉を聞いて脳を刺激するということがありません。ですが、聞こえない方々の中で、認知症になる方が多いという話は聞いたことがありません。

耳が聞こえなくても手話でコミュニケーションを取っていれば、言語を司る脳が刺激され続けているので、元々聞こえていた方が徐々に聞こえにくくなるのとは同じ聞こえにくいという症状でも脳の働きは違うということでしょうか。。



厚生労働省の新オレンジプランはこちら

日本耳鼻咽喉科学会の「難聴は認知症の最大の原因になる!?」はこちら

みんなの介護の「難聴によって認知症を発症する確率は50%も上昇!」はこちら

リサウンドの「認知症と難聴の関係とは?」はこちら

オーティコンの「聴力低下が認知症につながるリスクの一つに挙げられる」はこちら

スターキーの「難聴と認知症の関係について」はこちら

シグニアの「認知症と難聴」はこちら