2019.07.21

無いものは無い

目が見えないの手話
先日、ある講演会に参加してきました。講師は成澤俊輔氏で、視覚障害があり、微かに光が感じられる程度で、全く見えない方でした。
自らがそういう障害を持ちながら、社会的弱者と呼ばれている方々(引きこもり、障がい者、ワーキングプア等の方々)に、就労支援をされている方です。

マシンガンのように話された講演の内容は山盛りで、“目から鱗が落ちる”という言葉を借りるならば、鱗がなくなるほど落ちまくってしまいましたが、その中の一つが「無いものは無い」という言葉でした。
「無いものは無い」という言葉は私も当然知っていますし、もちろん使ったこともありますが、私が使っている言葉の意味は、彼の使っているそれとは全く違う意味でした。
自慢するの手話
私がその言葉を使う時は開き直った感じで、無いものは無いんだからしょうがないと、あきらめる時であまり良い意味ではないような…。
でも彼の言葉は、あるもの中で良いものを探し、そしてそれを使っていこうというもの。

多くの場合障害者の仕事現場では、〇〇は出来ません。××は難しいので配慮してくださいと、出来ないことを挙げて出来る範囲で仕事をしているようで…。
ところが、例えば知的障害があり複雑な仕事は難しいとか、臨機応変に仕事を進めることは苦手という人が、単純作業でも一つの事を黙々とやり続けるのが得意だったので、その得意分野を活かした仕事に就いたことで、健常者では出来ない仕事をこなしているそうです。

細かい事にこだわりがあって周りの人と上手くいかず、ひきこもりになってしまった人が、印刷物の校正の仕事で、つい見逃してしまいそうな、図の僅かなズレや、文字のフォントの違い、微妙な色違いなど、簡単に気付いくことが出来るので他の人より仕事がはかどり、しかも、PCのデータや資料を送ってもらいながら、会社に行く必要がなく人と関わることもしなくて済むので、家で楽しく一人で仕事をしているそうです。
苦手の表明
聴覚障害の人は、騒音が大きな工場で、騒音が気になって仕事に集中出来ない聞こえる人よりも、効率よく仕事に取り組むことが出来ているそうです。しかも、うるさくて上手く会話が出来ない場所であっても、手話でコミュニケーションを取りながら仕事を進めることが出来ます。
誰にでも出来ないことがあるし得意なこともあります。経営者側は、働く人の苦手なことが出来るようになるようにと、いろいろ考えてあげるのも必要でしょうが、苦手なことはしなくて済むように環境を整えることも必要です。

人と接することが苦手な人には、会社に来なくても家で出来る仕事を作るなど。

ところで、無くなってしまった鱗は元に戻るのでしょうか。心配です。